いつも側で君を感じるから。


だからといって12歳の俺がみなみを救える力はないけど、俺に話すことで少しでも気持ちが晴れればいいなと思った。

俺自身も、みなみにバレたことによって少しホッとしたような気もする。

本当は俺も、誰かに聞いてほしかった…のだろうか。


それからは辛いとき、一晩中電話することもあった。

それだけでお互いの気持ちが落ち着くっていうか。

誰かにわかってもらえるだけで、こんなにも安心するもんなんだな……。


中学に上がり、徐々に俺とみなみの父親の暴力も減り、クラスが離れたこともあって、みなみとの電話も減っていった。

みなみが前に言っていた通り、成長と共にだんだん俺の周りに色んな女が増えてって…。

何人かと付き合ったりもした。

それでもみなみは女友達として仲良くしていこうと思ってたんだけど。

ある日突然「もう電話してこないで」と言われた。

聞けば彼氏ができたからと。


あー……そういうことか。


男ができれば俺なんて用無しだろうしな。
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