いつも側で君を感じるから。


これが恋なのかと問われれば、まだよくわかんねえ。

でもみなみがいなくなったら、俺の体の一部がなくなったのと同じような気がした。

『じゃ、じゃあ…両想いってこと!?』

さっきあんなに泣いてたくせに、今度は急に明るくなる。

泣かれるより、全然こっちの方が良い。

「そうかもな」

『ヤバイ…本当!?夢じゃないよね!?めっちゃ嬉しいんだけど!』

キャーキャーと一人で騒いでいるのが聞こえて、思わず笑っちまった。

みなみは俺と同じ辛い思いをしてきた。

俺よりもずっと前から…。

俺と付き合うことによって幸せと感じてくれんなら、俺も嬉しいと思った。

これが人を好きになる事なんだと、〝恋〟なんだと思っていた。



だけど数か月後、俺たちは別れることとなる。


みなみの父親の暴力が再び増え始めていたのに、それを俺に隠していて。

何も知らない俺は、友達と遊ぶのが楽しくなってきた時期で、みなみよりも友達を優先にしてしまっていた。
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