いつも側で君を感じるから。


「そんなこと……ねえけど……」

やっぱりそれが原因だよな…。

「それとね……」

みなみが気まずそうな顔をする。

「なんだよ?」

「気になる人がいるの……」

「え?」

「ごめん。でも…私寂しかったんだ。新は全然私に『好き』って気持ち見せてくれなかったし…ずっと不安だった」


それを聞いても、なぜかショックを受けない自分に驚いた。

ただ申し訳ないなと思うだけで。

普通こういう時、ショックだったり悲しんだりしねえか?

聞けば気になる奴というのは、みなみと同じクラスの紺野貴弘だった。

あいつは穏やかで優しいし、みなみのことわかってやれるかもしんねえ。

「わかった。ごめんな…今まで不安にさせて」

「……」

無言のまま俯くみなみに、掛ける言葉もなくて。

最後まで彼氏らしいことしてやれなくてごめん。

やっぱ俺は〝恋愛〟っていうのがまだわかんねえ。
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