いつも側で君を感じるから。
あの頃なにもしてやれなかったからお詫びってわけじゃねーけど、みなみが泣ける場所を作ってやりたいと思ったのは確かだ。
みなみが俺の胸に顔を埋め、ため息をつく。
気持ちを落ち着かせているようだった。
「私……やっぱり新がいい」
「え?」
「紺野くんは優しいよ、話も合うし一緒にいて楽しい。でも本当の自分を見せられるのは新だけ……」
「それは俺とお前が同じ境遇だからそう思うんだろ。紺野に話してみればいいじゃん、あいつならわかってくれると思うけど」
みなみは無言のまま俺に抱きついていた。
俺はみなみの背中をポンポンと撫でてやることしかできない。
あんだけ傷つけたのに、みなみの気持ちに答えることはできない。
それに俺が今想ってるのは…。
思い浮かぶのはりりの笑顔だった。
だからといって自分の気持ちを伝える気はない。
みなみの時のように傷つけてしまうかもしれないから。
その時みなみのスマホが鳴り、俺から離れてスマホの画面を確認していた。