いつも側で君を感じるから。


雪は降っていなかったが、耳が痛くなりそうな寒さだ。

「これマジ雪降んじゃね?」

「うん、降りそう…」

「大丈夫?やめとく?」

「え!やめない!」


やめるわけないよ、こんなチャンス二度とないかもしれないのにっ。

寒さなんかに負けるもんかー!

新くんは私の方を見て微笑んだ。

「てか…手袋ねーの?」

「あ!部屋に置いてきた…取りにい…」

踵を返そうとしたら、手首を掴まれた。

「え…」

「片手だけだけど、なんもないよりマシっしょ?」

そう言って私の手を、新くんのコートのポケットに入れてくれた。

う、嘘でしょう…。

だって手を……つないだままなんですけど。

ポケットの中で、私達は恋人繋ぎになっていた。

ポケットがないコートを着てきてよかった!と心の中でガッツポーズをした。


「あ、嫌だった?」

「ううん…暖かい…」


緊張して手汗かきそうだ。

さっきまですっごい寒いと思っていたのに、一気に体が熱くなっていく。

< 140 / 274 >

この作品をシェア

pagetop