いつも側で君を感じるから。


八雲さんがこの前言っていた。


〝そんなんで新のことは救えない〟


あのあと何度も考えたけど、何のことなのかわからない。

直接新くんから聞けるわけないし…。

だからといって、八雲さんにわざわざ会って聞くのも嫌だ。

できればもう会いたくないけど…。

でもあの言葉の意味を考えると、新くんは今何か辛いことを抱えて生きているのかもしれない。

初めて会った時から気になっていたんだ。


変な無気力さを。


私に、新くんを救える力があればいいんだけど…。

「りりは何て祈った?」

「え?あー…って。そういうこと言っちゃダメでしょー!」

笑っている新くんの背中をポンと叩いた。

「いや、口に出した方が叶う気しねえ?」

「えーそうかなぁ……」

「うん。俺はね、『りりが幸せになれますように』って祈った」

「え……」

新くんを見ると優しい表情で私を見ていた。

でもその瞳の奥には、何か寂しげなものも見え隠れしていて。

どうしてそんな顔するの…?
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