いつも側で君を感じるから。
しかし、ノックしても返事がない。
まだ帰ってきてないのかな、そういえば玄関に靴がなかったような。
その時、お母さんが二階に上がってきた。
「どうしたの、そんな所に突っ立って」
「ちょっとお姉ちゃんに用があって」
お母さんとはあの事があってから少し気まずくて、まともに会話がない。
「千華(ちか)は塾だから。まだ2年生だけど大学受験のために必死に勉強してるの。あの子の邪魔はしないでちょうだいっ」
そう冷たく言い放つお母さんに、何も言い返せない。
南高を受けること、まだ根に持ってるんだろう。
「早く帰ってきたときくらい、夕飯の手伝いしなさいよ?お母さんだって忙しいんだから」
私に乾いた洗濯物を渡すと、踵を返して階段を下りて行った。
やっぱりお母さんは、勉強ができて自分の思い通りになる子の方が可愛いんだろうな。
自分のベッドの上にお母さんから受け取った服を乱暴に置き、階段を駆け下りた。