いつも側で君を感じるから。
春の嵐
「梨々花~?まだ髪やってんの?遅刻するよー?」
私の部屋のドアを、ノックもせずに開けたのはお姉ちゃんだった。
有名な進学校の三年生になったお姉ちゃんは、黒髪をビシッとひとつにまとめてスカートの丈もひざ下だ。
それに比べ私はスカートも短めだし、朝から髪のアレンジに忙しい。
でも、今日ぐらいは気合入れたいんだ…。
だって入学式だから!
先月高校の合格発表があり、見事みんな南高に合格した。
今日から新くんと同じ学校に通えるなんて…。
ワクワクが止まらなくて昨夜は中々寝れなかった。
「こらっ、いい加減にしなさいよ~!?」
お姉ちゃんの後ろから顔出したのはしかめっ面のお母さん。
相変わらず口うるさいけど、前よりは理解してくれていると…思う。
「はーい、もう行くよ」
「初日から遅刻とかやめてよ?って…ちょっと髪ボサボサじゃない!」