いつも側で君を感じるから。


照れくさそうに笑う彼女に、私は引きつった笑顔を返してしまったかもしれない。

〝頑張って〟なんて言えなくて。

新くんへの〝好き〟という思いが、私にもひしひしと伝わってきた。

みなみ、本気なんだ…。



ガラガラッ!

その時、教室の前のドアが勢いよく開かれて、一人の男の子が入ってきた。

クラスのみんなの視線が一斉にその子に集まる。

銀色の髪の毛に、耳には大きな穴が空いていて、口にもピアスがついている。

また派手な人がやってきたなぁ…。

しかし、そういう派手な子は他にもいるので、特に誰も驚かない。

「今頃なんだぁ?入学式とっくに終わってるぞ」

担任の中島先生が怪訝な顔をしてその子を見つめる。


「すいませーん、寝坊っす」

「ったく!初日から寝坊なんかするな!名前は!?」

「四宮一輝(しみやかずき)」

「あ~…お前か。んーと、席はあそこだ、辺見の隣」

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