いつも側で君を感じるから。
なんか楽しいことないかな。
最近そんなことばっかり考えている。
私、辺見梨々花(へんみりりか)は中2の夏頃から度々友達と学校をサボって遊んでいる。
勉強、部活、テスト…その繰り返しの中学校生活に嫌気がさして、逃げ出した。
初めは学校の近くにある公園で喋ったりゲーセンに行ったりするだけだったけど、今日はいつもと違う。
友達と会うのが昼間ではなく、夜だから。
なんだか今日は今までで1番楽しい日になりそう。
そんな予感がした。
「夜中に家出るのって、結構スリルない?ハラハラして楽しかったわ」
そう笑いながら言ったのは、友達の森谷泉(もりやいずみ)。
「楽しくないよー!バレそうで怖かったし!でも外に出たときの解放感は最高だねっ」
そう言って空気を思いっきり吸い込んだ。
夜の匂いっていうのかな、大人の香りがする。
ああ、この匂い好きだな…。
深夜1時。
私と泉は誰もいない駅のロータリーを歩いていた。
真夜中に友達と会うのは初めてで、沸き立つような興奮が全身を駆け巡っている。