いつも側で君を感じるから。


さっきのあの会話…聞かれてたんだ。

「え、それ…なんの話?」

新くんはみなみの話を信用していないのか、半笑いで私の方を見る。

ダメ…今絶対顔がこわばってる。

「りり?」

「新くん…」

「嘘だよな?大河と…」

目が見れない…嘘が下手な自分に嫌気がさす。

これ以上、新くんを傷つけたくないのに…!

新くんが辺りを見渡し、勢いよく立ち上がった。

「ま、待って!新くん!」

腕を掴んだ瞬間、私の方を見てくれたけどその目は今までにないくらい冷たくて。

私は驚いて手を離してしまった。

「りりはここにいろよ」

そう言い残して走って行く新くんの後を、私も必死に追いかけた。

新くんはみんなの中心にいた八雲さんを見つけると、乱暴に胸倉を掴んで立たせた。

「おい大河!ふざけんなよ!?」

「ぁあ!?急になんだよ!?」

2人がいがみ合い、周りの人達が止めに入るが蹴り飛ばされた。

私なんて入る隙もない。

ガクガクと足が震えて、なにも出来ない。
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