いつも側で君を感じるから。


新くんは平然とした顔で話し続ける。

絶対辛いはずなのに、もうそんな〝気持ち〟すら、遠い昔に置いてきてしまったんだろうか。

悲しい気持ちを出したところで親も誰も救ってはくれないと、諦めていたのかもしれない。

時折笑顔も交えながら私に話す。

お母さんとの別れ、父親からの虐待、そして義理母との関係。

自分の家というのは本来一番安心できて、一番心許せる家族がいる場所なのに。

新くんはそんな風に思った事はないだろう。

ずっと孤独と恐怖に耐えてきたんだ。

みなみに話すまではずっと独りで。

私はいつの間にか涙が溢れていた。


「りり…。泣き顔見たくなかったから…話すの躊躇ってたんだよ」

「ごめんっ!でもっあまりにひどすぎて…新くんのお父さん、許せない!」

「俺は親父だと思ってない。憎しみしかないし、見ると殺したいって思うこともある。りりの家族見てるとさ、自分ちが…自分の親が情けなくなんだよ」

私は新くんをぎゅっと強く抱きしめた。
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