いつも側で君を感じるから。
「悪いね、こんなやつが医者だなんて笑えるだろう?」
「いえ…。でも…もう一度…ちゃんと新くんと話してはくれないでしょうか!?」
すると新くんのお父さんの口元が緩んだ。
「気が向いたらな…。私はまだ治ったわけではないし。新を見るとどうしても思い出してしまうから」
背を向けて遠ざかる新くんのお父さんに、もう誰も何も言えなかった。
「…まさかそんな事情があったなんてな」
八雲さんがつぶやく。
「はい…びっくりしましたね…。新くんと会って話してくれたらいいのにって思ってたんですけど…」
「んな簡単なことじゃなさそうだな。今はまだ会わねぇ方がお互いのためでもあるってことだ」
そうかもしれない。
時間が解決してくれるんだろうか、新くんのお父さんの病気がよくなったらいつか…わかりあえる日が来るのかな…。
「はぁ。とりあえず新は一安心でよかったな」