いつも側で君を感じるから。
初めての…
*
夏休みに入ったせいか、街はいつもよりも人が多い。
夕方だというのに、まったく涼しくならず湿った空気が肌にまとわりつく。
「え~、泉たちも来れねーの?」
隣にいた陽太くんが残念そうに私を見る。
「うん。泉は家の用事が入ったとかでさっき連絡きて…萌乃は体調が悪くて来れないみたいだし」
「マジか、光喜と智大もこれねーって言ってたしな~」
今日はみんなでカラオケに行く約束をしていたのに、待ち合わせ場所にいるのは私と陽太くんだけ。
新くんは来るって言ってたけど、まだ姿が見えない。
「あ、今日八雲さんも来るはずなんだけど」
「え!?八雲さん?」
「昨日誘ったら行くって言ってたんだよ。つーか、新もおっせぇなー」
陽太くんがキョロキョロと辺りを見渡す。
「りーちゃん」
その時急に後ろから名前を呼ばれたので驚いて体が飛び跳ねた。
振り返るとそこには八雲さんが立っていて。
私の反応が面白かったのか、爆笑している。