いつも側で君を感じるから。
消したい記憶―side新―
―SIDE ARATA-
俺が小6の時、親父が再婚して義母が家にやってきた。
義母は完璧主義で、なんでもキッチリしていて真面目な人で。
離婚して出て行った本当の母親とは180度違う性格の女だった。
開業医の親父はほとんど家に帰ってこず、その寂しさのあまり他の男と浮気した母ちゃん。
でも俺は母ちゃんを恨んではいない。
忙しい親父にいつもないがしろにされ、寂しい思いをしていたのを知っていたから。
離婚する時、「お母さんと、一緒にいこう」と言ってくれたこと、嬉しかったから。
でも俺がいたら母ちゃんは幸せになれない。
当時俺も11歳で、ある程度自分のことは自分でできていたし、母ちゃんがいなくてもなんとかやれていた。
だから俺は親父と生きる道を選んだ。
でもそれが、地獄への始まりだった。