いつも側で君を感じるから。
再婚してまもなく弟が産まれ、俺はさらに居場所がなくなった。
弟を溺愛する親父と義母を見てると、吐き気がした。
この両親で、弟がまともに成長できんのかよ。
俺が心配したとこでなんにもなんねぇけど。
中学に入ってからは、家に帰らないことも度々あって。
成長した俺に、前みたいなDVはしてこねぇけど、親父は俺を空気扱いするようになった。
定期的に金だけ渡され、あとは完全シカト。
まぁ…
俺にとっては好都合だった。
喋りたくもねぇし、1秒たりとも同じ部屋にいたくもねえから。
だけど、この日は久しぶりに話しかけてきやがった。
いつものようにコンビニで買ってきた飯を自分の部屋で食い、外出しようと玄関に向かった矢先のことだった。
「新」
低くて耳障りな声が、自分の鼓膜に響き渡る。
俺は振り向きもせず、玄関で靴を履いていた。
「出かけるのは勝手だが、また面倒なことは起こすなよ」