いつも側で君を感じるから。
親父の方を睨むと、数ヶ月ぶりに目が合った。冷酷な瞳で俺を見つめている。
この瞬間、フッと昔の記憶が蘇る。
情ねえけど、近づかれると手が痙攣し、拒否反応が起こる。
「この前は俺の顔に泥を塗りやがって……また同じようなことがあったらただじゃおかないからな」
そう言ってリビングのドアをバタンと閉めた。
数ヶ月前、学校の奴らと派手な喧嘩をして親が呼び出された。
プライドが高い親父は、その事がよほど気に食わなかったんだろう。
でもそんなの知らねえよ。
てめぇのプライドなんてクソくらえ。
ガンッ!
震える手で玄関のドアを1発殴った。
拳に血は滲むが、痛みのおかげで震えが止まる。
消したいのに絶対消えてはくれない記憶。
精神的に落ち着く方法が、殴ったり、殴られたりすることだった。
あー、今から出かけんのに。
アイツのせいで気分ガタ落ち。
手の甲から血が流れ落ちていくのをただ呆然と見つめていた。
アイツと同じ血が流れていると思うと寒気がする。