いつも側で君を感じるから。


その時、ポケットに入っていたスマホが震える。

陽太からの着信だった。



『おせーよ!早く来い!』

「わりぃ、今から行く。今日誰来てんの?」

『今んとこ、りーちゃんだけだな。他はなんか来れねーって』

「ふうん。てことは、今ふたりっきり?」

『おう。……おせーから2人で先に行っちまうぞ』

「待て、ソッコーで行くわ」


受話器越しに陽太の笑い声が聞こえた。


「なんだよ?」

『なんでもねー、早く来いよ!』

ムカつくな。最近生意気なんだよ陽太。

別に弱み握られてるわけじゃねーけど、やけに俺のことを見て笑う。

今日はりりと陽太だけか……

つーか、りりは親と大丈夫なのかよ。

母ちゃんすげー怒ってたよな。

こんな見た目の男といたら誰でも怒るか…。


親に大事にされんのって、どんな気分だっけ。

そんなの、遠い昔に忘れてしまった。

いや、思い出しても虚しいだけだな。

思い出したところで現実は変わらない。

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