エキストラヒロイン
目を惹くアッシュブロンドの綺麗な髪から覗く澄んだ黒い瞳に、羨ましいほど長い睫毛。
女の子のような真っ白い肌に、鼻筋がすっと通り、妖艶さを秘めた赤い唇。
あたしを嫌厭する鋭い視線。
偉そうに組まれた長い足。
全てを馬鹿にしたような怪しげな笑み。
紛れもない本物に感動してしまって、言い返すことも忘れた。
「もしかして、自分にだけ俺が猫を被らないことに何か特別な意味でもあると思ってんの?」
「えっ」
ないの!?
口に出してはいないが、来栖くんにはあたしの心がバレバレのようで、不快そうに眉をひそめた。
「お前が一人騒いだところで、その事実に耳を傾ける奴はいないって見ててわかったからに決まってんだろ。自惚れんな、バカ」
「そ…、そんなぁ…」
「大体、顔も名前も知らない女を気にかけるほど、俺は飢えてない」
溜息混じりに吐いた言葉に、あたしの脳内はハテナマークが侵食していった。
「ちょ、ちょっと待って…あたしのこと、知らない!?」
「知らない」
「それはおかしい!だって毎日来栖くんのところにいたし、そもそも同じクラスなんだよ!?あたしを傷つけるための冗談だよね!?」
「別に、本当に知らないだけだけど」