エキストラヒロイン
なんてことだ。
来栖くんに、あたしの存在すら認知していなかったなんて!
昨日のアレが初対面だと思ってたの!?
むしろ、だからこそ、本性を見せてくれたことにうっかり期待しちゃうじゃん!?
なのに現実は、ただあたしがエキストラのように存在感のない人間だと思ったから…ていうこと?
「でもでも!ほらっ、あれだよ!人外!人外ヤマダゴリラ!!わかるでしょ!?」
「………あー、なんか騒いでる奴いたな」
「ほら!!ほらほら!!」
「うるさい鳴くな、ゴリラ」
『うほ!!うほうほ!!』なんて言ってないから!
自分でもアピールできることがこのくらいしかなくて、非常に虚しいよ!
「それはおいといて!来栖くんはあたしと付き合ってくれないの!?」
「当たり前だろ。人外と付き合えるかよ」
「おいといてっていったじゃん!」
「あのさ」
「っ…」
鎮座していた王子様は、ゆっくりと立ち上がり、あたしの顎をくいっと持ち上げる。
こ、このシーンは…!
来栖くんにじっと見つめられて、心臓が飛び出てきそうなほどバクバクと跳ね、自分でも顔が真っ赤になっていくのがわかった。