エキストラヒロイン
今は表向きの爽やか王子じゃないのに、心なしか来栖くんの周りには薔薇が咲き乱れそうな。
「…随分、嬉しそうだね」
「ひぇっ」
「にやついてんだよ、顔が」
そう指摘され、左頬をつねられた。
「い、いひゃい」
「そんなに俺と付き合いたいなら、可愛くおねだりでもしてみろよ」
「おねだりって…!」
それはつまり、あたしの体を差し出せと!?
要求がダイタンすぎない!?
「できないなら諦めてもいいんだぜ?」
「………や、やるよ!やる!」
「ふーん」
きっと、来栖くんはあたしにどれだけの覚悟があるのかを試しているんだ。
自分から言い出したくせに、心底つまらなそうに瞼を閉じて眠りにつこうとする来栖くんに歩み寄り、あたしのとっておきを披露してやった。
「ど…どう、かな?」
胸元のボタンを豪快に開けて、両腕で胸を寄せて谷間を強調させる。
できればこの武器だけは初夜まで隠し持っていたかったけれど、ここで出し惜しみをして後から後悔しても仕方がない。
あたしにとって唯一、普通でないもの。
それは、隠れ巨乳だということ。