エキストラヒロイン





ついでに可愛らしく耳に髪もかけてみた。


少し驚いたように目を見開いた来栖くんが呟いたのは。



「見苦しい」


「……みぐっ…見苦しい…?」



来栖くんが『可愛くおねだりしてみせろ』っていうから、あたしは恥を忍んでまで、こんなセクシー女優みたいな真似をした女の子を、そんな一言で片づけるの?


あたしは来栖くんのヒロインとして、どうすれば良かったの?



「お前さ」


「……………」


「あほ面する前にボタン止めろ。不愉快で仕方ない」



一瞬たりともこちらを見ない来栖くんに、ぎゅっと拳を握り締めた。



「…どうすればいいの?」


「は?」


「あたしは来栖くんと付き合えるために、何をしたらいいの?それともこの顔がダメ?可愛くないから?影も薄いし、魅力もないし、そんな女とは付き合えない?」



あたしが中条さんみたいに可愛くて気遣いが上手だったら。
四ツ谷さんみたいに地味だけど素顔はとても可愛いギャップのある女の子だったら。


展開は変わっていた?

来栖くんの心も少しは動かせた?



「昨日も、理由は言っただろ」


「………理由?」



なんか言ってたっけ。

あまりの衝撃に来栖くんの話はほとんど聞けていたかったような。


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