エキストラヒロイン
「お前が好きなのは、お前の中で勝手に作り上げた“理想”の俺で、そういうもので一方的に気持ちを押し付けられても鬱陶しいって言ってんだよ」
「理想じゃないよ!来栖くんのことが好きだもん!」
来栖くんは王子様みたいにかっこいいし、背も高いし、頭も良いし、どこを探しても欠点は見当たらない。
それのどこが理想だっていうのか。
「っ…とにかく、二度と話しかけるな」
「やだ!」
「お前みたいな痴女とは関わりたくもない」
「むり!」
駄々をこねる子供のように、来栖くんの腕をぎゅうっと抱き締め、逃がすまいと全力で引っ張る。
ここで来栖くんを離してしまったら、きっとまた来栖くんはあたしを視界にすら入れてくれなくなる!
せっかく取り巻きたちよりもぐっと差をつけて距離を縮めれるチャンスだっていうのに、行かせてたまるか!
「しつこい。離せ」
「あたしと付き合ってくれるっていうんなら離す!」
「だからお前みたいな女が一番嫌いだっていってんだろ。嫌いな奴と恋愛ごっこできるほど俺は優しくない」
「じゃあ好きになってよ!」
「………お前の知能はサル以下か?」
「ゴリラじゃないってば!!」
「…はぁ」
来栖くんは頭を抱えた。