エキストラヒロイン
「来栖が嫌なことは“理想を持つこと”自体じゃなくて、“理想だけで作り上げた来栖”が好きって言われることだと思うけど」
「それって来栖くんじゃん」
「いやいや。耀の理想と、現実の来栖は違うでしょ」
「どこが?実際見た目よし、成績良しの完璧人間だよ?」
まさに非の打ち所のない美青年。
二重人格は予想だにしてなったけど、爽やかな王子様が本当はドSな毒舌王子様でした、なんて来栖くんを追いかける側としてはご褒美としかいいようのない追加オプションのようなもの。
マゾにも目覚めてしまうかも!
「もしも来栖がマザコンだったら?」
「ないない。来栖くんに限ってない」
「来栖が気持ちの悪いオタクだったら?」
「あんなキラキラした美青年がオタクとか絶対ない」
「来栖が実はオカマだったら?」
「やだーもうありえないってー!」
「………それだってば」
「え?」
「あんたのその“ない”が、現実の来栖にとっては“ある”ことなの」
来栖くんがもしかしたらマザコンだったり、だっさい格好してハァハァしてるオタクだったり、強烈オネエキャラだったりするかもしれない…ってこと?
「そんなことあるわけないじゃんっ」
「来栖の何を知ってるの。
ただ噂で聞いた血液型と誕生日と身長くらいでしょ?そんな誰でも知ってるような情報で告白しても、あんな大量の女子から来栖を勝ち取れると思ってるの?
耀のためにいうけど、来栖だって同じ三次元の普通の人間なんだから、
あんたみたいに足の匂いとか顔の産毛処理とかくだらない悩みもあるに決まってるでしょ」
「わぁぁああ!しー!」