エキストラヒロイン
あくまで奴隷のふりをする。
今日の星座占いはなんと第1位。
いいことがありそうだ。
そんな予感がしていた矢先、廊下を歩いていると誰かに拉致されてしまった。
状況が把握できないまま鍵の閉まる音だけが耳に響く。
「おい山田。いつまで不細工な顔してんだよ」
「…く、来栖くん!?」
目の前には猫の被り物をなくした来栖くん。
まさかの来栖くんからイベントを持ってきてくれるなんて、やっぱり今日はいい日なんだ!
「…ていうか、あたしの名前…」
「人外のほうがよかったか?」
「やまっ、山田で!!山田でお願いします!!」
つい先日までは顔すらも覚えられていなかったエキストラ同然のあたしが、名前まで呼んでもらえるようになったなんて!
脈アリなの!?そうなの!?
来栖くんのハートはあたしに傾いてきてるの!?
「…山田は俺が好き?」
「はい!!大好きです!!」
「じゃあ、これ。ご褒美」
「ご褒美!?」
「ああ」
甘い言葉とは裏腹に、あたしの前に差し出されたのは紙の山だった。
「………えっと、これは?」
今度は嫌な予感がした。