エキストラヒロイン



変なところで壁を作ってくる来栖くんにぷくっと頬を膨らませながら、さっきの書類作りを見様見真似でやってみた。


その間、来栖くんは自分が引き受けた仕事だっていうのに一切手をつけることなく、なんなら腕と足を組んで、資料をまとめるあたしを監視している。



「よし…できた」


「やり直し」


「え!?なんか順番待ちがえた!?」


「違う。もっと綺麗に揃えて止めろ」


「細かっ」



たしかに数ミリくらいずれてるけど、こんな細かい部分、誰も気にしないでしょ!あたしだったらずれているって気付いたとしても何も思わないよ!



「………お前がやってるのは誰の仕事だ?」


「へ…、先生の?」


「引き受けたのは?」


「来栖くんだよ」


「俺はそんな不細工な書類を渡さない」


「うん?」


「…理解できてる?」


「なにが?」



笑顔で聞き返すと、来栖くんは明らかに馬鹿とでも言いたそうに顔を歪めたが、それは堪えたらしい。



「だから、これはお前が作ったんじゃなくて、俺が作ったものとして渡すことになるんだから、完璧にしないと俺が適当な奴だと思われるだろ」


「だから、なんで来栖くんが作ったことになるの!?あたし作るんだよね!?」


「それだとお前にやらせる意味がなくなるだろ、バカか」



本日の『バカ』、しっかりいただきました。




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