エキストラヒロイン
「来栖くんだ…!来栖くんからだ!」
やっぱりあたしのこと待ってくれていたのかと、周辺を探して回ってはみたけれど、本人はすでにご帰宅されているらしい。
それでも、差し入れをくれた来栖くんの優しさは、飛び跳ねるほどたまらなかった。
嬉しさと喉の乾きはジュースのキャップを開けようとする手を急かす。
いただきます!来栖くん!
やっとキャップが開いた瞬間。
プシュッと大きな音を立てて、どろどろと入口から溢れたフォンタグレープはあたしの手を伝い、ぽたりと床へ滴り落ちる。
「……………」
あんのっ、
クソ王子めがぁぁぁああ!!!!
………あ、今の少女漫画のヒロインっぽい。