エキストラヒロイン
王子様には棘があった。
顔良し、髪型よし、制服良し。
鞄にお弁当もお茶もあるし、タオルにポケットティッシュ、携帯にお菓子、メイク道具も一式揃えてポーチに入れてある。
「よし!じゃあ行ってきまーす!」
軽快なスキップで学校へ着くと、正門の前にはバスが何台か停まっていた。
「耀、おはよ」
「おはよう公ちゃん!晴れてよかったね!」
「そうね」
お天気お姉さんも雨が降ることはないって断言してたし、澄みきった青い空は眩しいし、少し暑いことだけが苦だけど、絶好の遠足日和だ!
ただ。
「来栖くんのとなりの席がよかったんだけど」
「となりって誰だっけ?」
「先生でしょ?」
「は?なにそれ、きもいんだけど」
「ほら、先生が心配だとかいってさ…」
残念ながら、来栖くんのとなりの席はとれなかった。
バスで座る席は基本的に自由だっていわれていたけど、先生が不安を拭うために、あらかじめ来栖くんを自分の隣に座らせた。
「ねえ耀!あのハゲまじでありえないよね!」
「ほんとそれ!来栖くんのとなりに座りたかったなー!」
ちらっと来栖くんのほうを見る。
………さすがに見てくれはしないか、くそぅ。