エキストラヒロイン
だって少女漫画の中で相手の名前を呼ぶときに山田三郎だったり、山田花子とかだったら胸キュンしたくてもできないでしょ!
『花子…お前を誰にも渡さない』
『三郎くん…』
ナイナイナイ!!
まだヒロインの座を狙えているのは、あたしの下の名前が“耀”だったことで、それはせめてもの救いである。
「あとはインパクトだよ、公ちゃん」
「知らないけど」
「やっぱりどれだけ地味な子でもさ、王子様を射止められるだけの魅力があるの!調味料をいかに使わずどれだけのアクセントを加えられるか…んーそう、スパイシーなね!!」
「料理の話?」
「…まあそんな感じっ」
たまにこうやって変な表現をするけど、決まって公ちゃんには伝わらないので、あえて掘り下げない。
火傷をするのはこっちだからね。
「ていうか、今日は来栖くんのところへ行かなくていいの?いつも休み時間ごとに走っていくのに」
「そうしたいんだけど、ただ突っ込むだけじゃだめだと思って、今は作戦立ててるの。聞く?」
「いや別に」
「聞かへんのかーい」
「そんなヨシモト新喜劇みたいなモーションされても…」
反応に困る公ちゃんにあたしは言いたい。
そこはあえて触れなくてもいいところであるとね。