ばいばい、津崎。


存在感だけで追い払ってしまうなんてさすがだ。


「ありがとう、津崎。助かったよ」

来てくれなかったら、あの男の子たちかなりしつこそうだったから。


「お前みたいに色気のない女でもナンパされるんだな」

なぜか鼻で笑ってきた。


「ちょっとそれどういう意味?」

「そういう意味だよ」

せっかく感謝してたのに、今のはけっこうカチンときた。たしかに美貴のようにスタイルはよくないし胸もないから、色気なんてひと欠片もないけどさ。


そしてまたみんなの元へと戻り、再び遊んでいると辺りはすっかり夕暮れになり、海面が橙色に染まっていた。

すると美貴がなにやら自分のリュックを漁りはじめた。


「じゃーん!」と、得意気に見せてきたのは花火セット。美貴のリュックがやけにパンパンだったのはこれが入っていたからだったんだ。

しかも手持ち花火だけではなく、噴き上げ花火の筒も何本が入っていてさらにビックリ。


「やるやる」と乗り気なのは剛。続いて「じゃあ、バケツ借りてくるよ」と哲平は海の家へ。

津崎は相変わらず面倒くさいって顔をしていた。

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