ばいばい、津崎。
*
それから数日が経ち、一学期の終わりとともに夏休みがやってきた。あのあと津崎はケンカの事情を先生に聞かれ、相手の先輩も非を認めたため、津崎が処分されることはなかった。
「あー、本当に毎日暑いよね」
セミが大合唱している道を、美貴とアイスを食べながら歩く。ポタポタと口に運ぶ前に棒のバニラアイスは溶けていき、私も「暑すぎるよね……」と覇気のない返事をする。
「っていうか飲み物とお菓子これで足りるかな?」
美貴が手に持っているビニール袋の中身を覗いた。
「足りるでしょ。っていうかあんまり買い占めちゃっても悪い雰囲気だったよね」
私たちは島で唯一お菓子が売っている【よろずストア】に立ち寄った帰り。年配のおばあちゃんがやっている小さな店は飲み物からはじまり、アイスや野菜。おまけに文房具まで置いてある。
コンビニのように利便性はあるけれど、一つひとつの品数が少ないため、衝動買いをしてはいけないという暗黙のルールが島にはあったりする。
「あとで男子たちに多めのお金を請求しようね」なんて言っている美貴は少し悪い顔。
私たちはこれから剛の家に行く。あとで割り勘することを条件にこうしてお菓子や飲み物を買って、みんなで夏休みの課題をやる予定だ。