ばいばい、津崎。


私は必然的に津崎の横に腰を下ろすことになり、中央に置かれた脚が短い折り畳みテーブルでプリントのかどを整える。


「ひ、久しぶりだね」

私は津崎に声をかける。

久しぶりと言っても終業式からまだ1週間あまりだけど、呼び出す理由がないと会えないから、連れてきてくれた剛には感謝しかない。

すると、津崎は私の顔をじっと見つめたあと、再び「はあ……」とため息をつく。


「なんかすげえ騙された気分」

「だ、騙されたって?」

「お前、超元気じゃん」

「え、げ、元気だよ。むしろそれぐらいしか取り柄がないというか……」

津崎はまだ納得いかないような表情をしていたけれど、買ってきた飲み物を美貴がみんなに配ったあと、とりあえず少しずつ課題を進めることになった。 


部屋の窓からはセミの鳴き声が絶え間なく聞こえている。
 
哲平を除いて、みんなあまり勉強が得意じゃないから、どうせ真面目にはやらないだろうと思っていたけれど、意外にも真剣な雰囲気。

カリカリ……と、シャーペンの音が響く中、スイッチが切れたように最初にうなだれたのは美貴だった。


「あーもう、暑いっ!ってか、この人口密度で扇風機1台ってヤバくない?全然こっちに風が当たらないんだけど!」

美貴が苛立ったように、ゆっくりと首を左右に動かし続ける扇風機を見る。
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