ばいばい、津崎。
「告白とかしないの?」
まさかそんなことを言われると思ってなかった私の唇はさらに重くなる。
「……そういう感じじゃないし」と、歯切れの悪い返事。
本当は津崎に途中まで言いかけたけれど『聞きたくない』と、拒絶されたなんて哲平には言えない。
そもそもあの時、私は〝告白〟という意識はなかった。ただ気持ちを伝えて、津崎に知ってもらえれば、という感覚だけだった。完全に私のエゴが先走っていたと思う。
「じゃあ、どういう感じ?付き合いたいとは思ってないの?」
「……それは……」
続きの言葉が出てこない。
津崎と付き合うなんて、そんなの想像もしたことがない。好き、の先には必ずそういう意識が生まれるものなのに、本当に考えたことは一度もないのだ。
その理由を問われても困るけれど、私はただ津崎と一緒にいられればその関係に名前をつけなくてもいいような気がしていた。
だから津崎とどんな風になりたいか、なんて一番難しいけれど、できるなら大人になっていく姿を隣で見ていたい。
そんな簡単な答えじゃ、ダメだろうか。
私が黙ったままでいると、哲平がゆっくりと私に近づいてきた。そして……。
「俺が今、皐月に告白したら振られる?」
今度はドキリと動揺する鼓動が胸を叩いていた。