ばいばい、津崎。


そして躊躇なく、ピンポーンと鳴らすけれど誰も出てこない。それどころか窓のカーテンはすべて閉められているし、人の気配はないように見える。


「留守みたいだね。出掛けてるのかな?」

美貴はやっと諦めて、インターホンから指を離した。

このままここで待っていても本当に熱中症になりかねないと私の家に戻ることになり、美貴と剛は坂道をおりていく。


私はもう一度振り返り、津崎の部屋がある場所を見た。ブルーの淡いカーテンは風にも揺れずに太陽を遮断している。

なぜだか胸の奥がざわざわとした。


その悪い予感は的中して、次の日も、また次の日も津崎と連絡がとれずに時間だけが過ぎていった。

剛が誰かに聞いた話では島の外へ旅行に行ったらしいという情報が入ってきたけれど、津崎がお母さんとふたりきりで長期的に旅行に出掛けるなんて、なんだか腑に落ちない。

しかも携帯の電源を切ったままなんて、絶対におかしい。


そんな気持ちを抱えたまま、カレンダーは8月になった。

      
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