ばいばい、津崎。
「悲しいだけじゃない。津崎が残していくのは、もっと優しくて、永遠に消えることのない暖かいものだよ」
そして未来でお酒を飲みながら、きみのことを話すのだろう。
津崎を救えなかったという後悔ではなく、きみと過ごしたこの夏の日々のことを、みんなで柔和(にゅうわ)な表情をしながら愛しく語り合うのだ。
「津崎、好き。大好きだよ」
私は力いっぱい津崎を抱きしめた。もう離さないように背中に腕を回すと、それに応えるように私の体を津崎が引き寄せる。
それは折れてしまうんじゃないかってぐらい、きつく、強く。
「俺も、山本が好きだ」
津崎の掠れた涙声を聞いて、私の瞳にも雨じゃないものが溜まっていく。
津崎はそっと私から体を離した。そして……。
「最後の日まで、俺の傍にいてください。それで、来世でも俺を好きになって。その時は一緒に大人になって、長生きして、もっと隣にいるから。俺が山本を幸せにするから」
胸の奥が熱くなって、「うん、うん」と、私は何回も頷いた。