ばいばい、津崎。
あれから一週間が経ち、なんとか私は未来での生活を取り戻しつつある。
今では、過去に行ったことが嘘だったのではないかと思う時があるけれど、確実にトリップする前と後では変わったことがたくさんある。
過去に行く前は16歳の頃を思い出すのがツラいと、部屋になにひとつ思い出のものなんて置いてなかったけれど、今は一番見やすい壁に大きなコルクボードが飾ってあり、そこにはいくつもの写真が貼られている。
美貴、剛、哲平、そして津崎。
8月21日以降の津崎と過ごした写真も、数えきれないほどある。
過去は変わったのだ。夢ではなく、こうしてちゃんと未来へと繋がっている。
そして私は今日も満員電車で、仕事に向かう。
正直、ファッションに興味があったわけでもなく、ただなんとなく求人を見て選んだアパレルの仕事だけど、こうしてぎゅうぎゅう詰めになりながらも転職しようと考えないのは、きっと自覚がなかっただけで、私は仕事にやりがいを感じているからだと、最近ようやく気づいた。