ばいばい、津崎。



私がこの島へと引っ越してきたのは中学2年生の時だった。

両親の離婚を機に母に引き取られた私は、母の生まれ育った島で暮らすことになった。


私がそれまで住んでいた場所は都会ではなかったけれど、ここよりは不便さを感じずに、コンビニもカラオケボックスもボーリング場もゲームセンターだってあった。

だから、雑誌に載っている洋服も売ってなければ、流行りも届かない。そんな海と自然と暇をもて余すことしかないこの島が、最初はイヤでイヤで仕方がなかった。


今考えれば、私はかなり高飛車な性格をしていたと思う。


島で流れる時間はとてもゆっくりに思えて、ここで暮らす人たちが時代に取り残されたようにダサく見えた。

私はああなりたくないって思った。


そんな気持ちから同級生たちとも話が合うわけがないと決めつけて、馴れ合うよりもひとりでいるほうがカッコいいとさえ思っていたあの頃。

私は幼さを理由にして、色々な理屈をつけていたけれど、単純に島の住人になることがイヤだったのだ。

< 43 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop