ばいばい、津崎。
3: 水縹―Mihanada
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長かった1日が終わった。
ベッドに入って眠る直前に、もし目覚めた時に現実世界へと戻ってしまっていたらどうしようかと考えた。
トリップしてしまった定義もよく分からないのだから、突然帰ることになっても不思議じゃない。
そう思えば思うほど閉じかけていたまぶたが開いて、眠気が覚めてしまった。
そして気がつくと、カーテンの隙間から日の光が射し込んできて朝をむかえた。
制服に着替えてリビングに行くと、すでにお母さんが朝ごはんの用意をしてくれていた。
「皐月、おはよう」
お母さんは島の役場で事務関係の仕事をしている。たまに私よりも先に家を出ていくこともあったけど、今日は鼻唄を歌っているぐらい時間に余裕があるみたいだ。
「今日パンしかないけどいい?」
テーブルにはクロワッサンが置いてあった。
「うん、いいよ」
「スクランブルエッグ作ったけど食べる?」
「うーん。あんまり食欲ないからいいや」
元々朝が弱い私は仕事の時でも朝ごはんは食べない。いつもカフェオレかインスタントのスープを飲むぐらいだから、この小さなクロワッサンでさえひとつ食べるのがやっとだ。
「いってきます」
そして私は炎天下の外へと出た。