ばいばい、津崎。
それは茹だるような暑さで、コンクリートに照り返す太陽の日差しがきつかった。
私は自転車にまたがって、学校への道のりを走る。坂道を下る時は涼しく感じても、上り坂は地獄。
高校時代の3年間はこの道を往復していたけれど、今考えるとよく乗りきれたなって思う。当時は若さもあって不思議と苦にはならなかった。
そうやって知らず知らずに島の環境に染まっていたのかもしれないけれど、結局私は津崎の死から逃げるようにこの地から離れた。
だけど、もし未来が変わって津崎と笑い合えることができるのなら。
もし、津崎がこの島に残ることを選んだとしたら、私は迷わずにここで生きていくことを選択すると思う。
それで私の未来が大きく変わって、歩んできた26歳までの歴史がなくなってしまっても構わない。
津崎が、この世界にいてくれるのなら。