朝はココアを、夜にはミルクティーを
「………………確かめてみますか?」
「確かめる?」
聞き返した直後、私の唇は塞がれていた。
勢いとか強引さはまったくない、触れて離れるだけのキス。
二、三度繰り返したあと、探り合うように視線が絡む。
いや、そんな目で見られると─────
「ほら、ちょっとまずいでしょう」
亘理さんはそう言ってとても困った顔をした。
「とてもじゃないけど、耐えられそうにないです」
ああ、なんて愛しいんだろう。
私もこの人に触りたい。
「いいですよ、……って言ったら、もっと困らせちゃいますか?」
言葉を最後まで言い切ったかどうかのところで、彼に抱き寄せられてキスをされた。
今度は、重なるだけのものじゃない。とても熱っぽいキスだった。
本当のことを言うと、びっくりした。彼もこんなキスをするんだと。
普段が淡々としているから、余計にそのギャップについていけない。
「亘理さんも、こういうキスするんですね……」
「え?どういう意味ですか?」
キスの合間に無意識につぶやいたのを、彼は聞き逃さなかった。
とても不満げに眉を寄せて私を見ている。
「ごめんなさい。なんか、想像できなかったんです。亘理さんがこんなに男らしいなんて驚いてしまって」
「心外ですね。スイッチを押したのは白石さんじゃないですか」
「そう……なのかな」
否定はしないけれど。
恥ずかしくて目をそらすと、彼の両手が私の頬を包んで無理やり首の軌道修正をされた。
向き合った状態で、亘理さんがにこりと微笑む。
「気が変わりました。帰るのやめます。今日はこの満たされた気持ちと白石さんを堪能します」
「堪能……」
「だめですか?」
「…………だめなわけ、ないですよ」
そのあと私のアパートで二人きりの甘い時間を過ごしたのは、言うまでもない。
とびきりの甘い時間、甘い言葉、甘い視線、全部まるごと二人だけで堪能した。
中毒になりそうなくらいの彼の暖かな腕の中で私は心底ホッとしていたのだ。
絶対に、この人を離したくないと思いながら。