朝はココアを、夜にはミルクティーを


そこまで思ったところで、亘理さんが突然身体をゆっくり動かした。
パチッと目覚めるでもなく、何度か瞬きをしてから、私の姿に気づいてじっと見つめてくる。

「風邪引きますよ」

パソコンのデータを素早く保存して、電源を切っておいた。唯一光を放っていたのが画面からのものだったので、それが消えたせいで部屋も暗くなる。
コードをまとめながら、彼に説教っぽく続けた。

「ちゃんと布団で寝てください。仕事は朝起きてから……、うわっ!!」

手から抜けるように、まとめたはずのコードが広がった。
コードの先のアダプタがフローリングの床にコツンと音を立てる。

どうしてこうなったのか寝ぼけた亘理さんに身体を引っ張られ、テーブルの横に敷かれた布団の上に押し倒されているみたいな形になっていた。

「え!?え!?あの、ちょっと!」

頭が混乱してじたばたしていると、彼の顔が近づいてきて急いで背けた。
私の顔のすぐ横に彼の頭が落ちてきて、そのまま体重をかけられる。
これがまずい状況なのは誰でも分かるはずだ。

ところが、亘理さんは一言も何も発することなく、ついにそこから動かなくなった。

「…………………………は?」

目を見開いて、彼を揺する。何度も、何度も。
しかし彼は動くことなく、私を押しつぶしたまま寝ている。


─────なんだこれ!!

私は力ずくでヤツの身体を押しのけようとするものの、寝返りをうった亘理さんは両手で私を拘束してすやすや眠り続ける。
少しだけ時間が経って、頭が冷えてきて、冷静になって気づく。

なるほど、私は抱き枕代わりになっているらしい。
そういう紛らわしいのは、本当にやめてほしい。
ドキドキして損した。




私の明日のシフトは、早番。
ちゃんと起きられるか心配になった。

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