朝はココアを、夜にはミルクティーを


「ありがとうございます!みんなで色々模索して、良くしていこうって変えていってる途中なんです」

「やっぱりそうなんだぁ。どうして急に?他のコマチもこんな感じなの?」

「いえ、店長が変わったんです。今の店長が積極的に改革しているんですよ」

「へぇ〜!外観も綺麗になったし、トイレも新しくて使いやすいよね!」

前はちょっと古くさかったけどさ、と笑いながらズバズバと言いたいことを言うあたり、さすが主婦。

たしかに彼女たちに話を聞いていたら、改善点をもっと見つけられそう。
メモでも出すかな、なんて考えているうちに、さっきの茶髪のママさんが不満げに口をとがらせた。

「ブラマは綺麗だし品揃えもいいけど、広すぎて子どもが迷子になるのよね。あと、店員の対応も良くないからさぁ」

「それ違うママ友も言ってた!お刺身に虫入ってたの指摘したら、すっごい嫌な顔されたとか……」

「虫!?やだぁ〜」

三人で文句を言っているそばで、「虫」というワードに私も一人でゾワゾワしてしまった。
一人暮らしの私にとってはお刺身はご褒美に近い。それに虫がいたとなると……無理!

話が盛り上がってきたところで、コンコンと部屋の扉がノックされ、亘理さんが顔を出した。

「和田先生、お皿って何枚使います?」

「あらっ?ごめんなさいね、準備するの忘れてたかしら?」

「廊下の机に置いてありますよ。全部持っていっていいですか?」

和田先生は立ち上がると、お願いしますと申し訳なそうに手を合わせている。
いったん姿を消した亘理さんは、すぐにお皿を抱えてまた会議室へ戻ってきた。


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