朝はココアを、夜にはミルクティーを


その夜は、遅くまで従業員みんなで翌日から始まる三日間のクリスマス期間の動きや流れなどを何度も打ち合わせて確認し、正社員、契約社員、パートバイトなど関係なく、意見を出し合った。

「ケーキのお渡しのピークは二十四日の午後です。予約の方はすべて会計済みですので、渡し間違いにだけ気をつけていただければと思います。飛び込みで購入に来たお客様には、こちらの列に並んでいただいて……」

店内にクリスマスケーキ専用の売り場を設けていて、亘理さんが当日の流れをみんなに説明している。
私とサンタ役の社員さんは、他のみんなとは違う動き方になる予定だ。

「サンタさんとトナカイさんは、基本はケーキ売り場にいてください。二人はつねに一緒に休憩に入り、一緒に売り場に出るようにお願いします。タイミングを見ながらほかの売り場に遊びに行ってみてください。子どもたちが喜ぶと思います」

「分かりました」

あの着ぐるみを着て長時間店頭に立つとか、死なないかな?と不安になっていたら、それを感じ取った亘理さんが私を見てにっこり笑った。

「着ぐるみを連続で着ていられるのは、せいぜい三十分くらいです。必ず十分ずつ休憩をとってください」

やっぱり三十分が限界だよね、とうなずく。

せめて顔が出るタイプのトナカイの着ぐるみなら息もしやすかっただろうに。
あ、でもそれだと私の顔を黒塗りしないといけないのか。


「明日から三日間は、おそらくかなりの集客があると見込んでいます。みなさん落ち着いて動いてください。なにごとも連携ですから、お互いに声をかけ合って乗り切りましょう。では、お疲れ様でした」

「お疲れ様でしたー」

締めくくりで亘理さんの一声で解散になった。


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