嘘の朝
第2章


「憧子〜」

日曜は母の休日であり
私達家族が家族らしい事をできる日
別に家族が好きとか嫌いな訳ではなく
ただ昔から毎週この日が来るのを楽しみに
していたのを覚えている

今日は拓海の水泳の試合があり
母と会場へ行く予定で身支度をした

私が6歳で拓海が5歳の頃
習い事で唯一通っていたが
私は3年で辞めた
拓海は一昨年まで通っていて
今も部活とジムで泳いでいる

「拓海もこの大会が2年生最後かしらね」
「そうだね」

この時期はだいたいどこの部活も
引退試合になり受験に専念する
けど拓海ならって少し期待もしてみた
会場は各学校の生徒や選手が沢山いて
その声援の中私と母は席に着いた

「はぁ〜今回は何時もに増して凄いわね」
「最後かもしれないしね」

自由形とリレー
個人戦と団体戦どちらも出場する
かなり優秀な選手である
自分の弟の姿は羨ましかった
黄色い歓声は弟に向けられていた
皆んなメガホンに口を当て
私の弟の名前を声が枯れんとばかり叫んでた

「拓海〜〜」
「拓海さ〜ん」
「拓海先輩!!!」

様々な呼ばれ方をされ
様々な声がする
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