いじめ ―きっかけは―
❸ 始まり、それは小さなこと
第3章


帰り、翼は親友と
別れてまた教室に戻った。



理由は、



(有馬 翼君へ♪
今日、放課後教室に
 来てくれる?
 あたし、待ってるからね。
 中1のA組の女子より♪)



翼にこういう手紙はよく来る。
いつも面倒だけど、行ってあげる事にしている。



翼がダルそうに
教室のドアを開けたら
1人の女子が立っていた。



「愛美?」



翼は少しビックリしながらも
その女の子の名前を呼んだ。



愛美は自分の席あたりでうろうろ
していて、翼を見たとたん
凄く慌てだした。



「あ、翼?!
 じゃ…じゃあね!」



と思ったらそう言って教室を出た。
いや、飛び出たと言った方が
正しいのではないだろうか。



「は…?」



翼は愛美の開けたドアの辺りを
ボーっと見てたけど
やがて何かが落ちていることに気がついた。


…画鋲が金色に光っている。
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