いじめ ―きっかけは―
タッタッタッタッタ…



美海の足音がどんどん遠ざかっていった。
翼は決心していた。
…俺、絶対に美海を守らないと。


だから
愛美とちゃんと話す。



愛美の机の上にはかばんが置いてある。



愛美はもうすぐ帰ってくるだろう。



ずっと愛美を待ち続けていた翼だが、
途中でどうしても眠くなった。



閉じたまぶたを透けて、眩しい
オレンジ色の夕焼けの光が差し込んでくる。



その時、
足音が聞こえてきた。



…やがて、教室に入った。



愛美が、眠る翼を見て、
大慌てで帰る支度をしていた。



振り返る気力のない翼は、



「愛美…。」



眠気を振り払うようにして
そう言った。
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