いじめ ―きっかけは―
「あ、柚花。
 私のわがままにごめんね!
 愛美ー来て!」



「うん。」



柚花をチラッと見ながら
…いや、少し睨みがちに…
愛美がやってきた。



「い…痛いって!」



愛美が悲痛の声を上げる。



今、私は愛美と柚花の腕を
強く掴んで、先頭に立ちながら
屋上へ向かっている最中。



「そ…そうだよねぇ! 
 もう美海、痛いでしょ。」



ふざけたように笑い合う2人。
でも…柚花の笑顔はなんとなく
引きつっているような気がした…。



肩をトントン、と叩かれ、



「…愛美。」



「大丈夫?
 あのね、屋上のドア開かないんだけどー…。」



愛美が心配そうな顔で
私の顔を覗き込んでいる。



「え? 開かない?」
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