いじめ ―きっかけは―
私も屋上へ続くドアをガチャガチャと
開けようとしたけど、無理だった。


「…ごめん、事前に確かめてなくて。
 屋上の前で良い?」


うん、と、
愛美と柚花が笑った。


「じゃあ…ここで。ありがと。」


ここなら誰にも聞かれる心配が
ない。
だって屋上に着くには、
長い階段を上らないといけないから。


今、私達はその階段の1番上にいる。


ちょっと狭いけど、安心できるって感じなんだ。


「で…美海、何?」


いきなり柚花に聞かれてちょっと慌てた。
…何て話し始めよう?


「お昼休みに、あたしと愛美、
 話したって言ったでしょ?
 それで…さ…。」


柚花の目を真っ直ぐ見て、
私は話し始めた。


柚花の目は、何かを怯えているような…
そんな目で、…少しだけ戸惑った。



愛美は、画鋲と菊、両方とも
やってないって言ってた。


画鋲だけ、だって。


だけど、柚花は、
画鋲と菊、両方ともやったのは
愛美だって言ってたよね。
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