いじめ ―きっかけは―
愛美…柚花に命令されてやった…
って、そう言ったの…。


私…どっち信じていいのかわからない。


ここまで私が言った時、
愛美は、
怒ったように柚花に言った。


「2人で話し合おう。」


「えっ…え…うん…。」


この時、私は柚花の反応を見て
いじめるなんて予想もつかないって
思ったの…。


2人はずっとこそこそ喋っていた。
えっ…と、柚花が眉毛をへの字に曲げた時、
愛美があたしの方にやってきた。


愛美が、ほら、と柚花を突く。


「うん、ごめん…あたしが愛美に命令したの。
 嘘ついてごめん…。菊もあたし…。」


一息ついて、柚花が続けた。


「…あたしたち、あんたのこと嫌いなの…
 だから…。愛美行こ…。」


2人が階段から下りて行ったのを見て、
私はその場に座り込んだ。


本当はここで、サイコロの転がる音が
聞こえるはずなんだ。
だけど、今私の頭の中は
わんわん鳴っていて全然聞こえなかった。


柚花の態度。オロオロしてた。
柚花が私のこと嫌い?


理由も教えてくれなかった…。


なんで…。


愛美も、私のこと嫌い?


頭が混乱した。分からないよ。
柚花の態度ではとても…とても、
愛美に命令したなんて思えない…。


「美海!
 なんで愛美と田邨が
 一緒に帰って行ったんだよ!」

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