いじめ ―きっかけは―
翼が屋上に飛び込んでくる。


「柚花が愛美に命令したんだって…。」


まだ…現実逃避してる。


「柚花と愛美、私のこと嫌いだって…
 そう言って帰って行ったの…。」


「な…?」


翼がキレかかってる。


「お前…冷静過ぎ…。」


「だって…。」


「じゃあ田邨が菊のことやったってこと、
 ショックじゃないのか?」


そっか…。
ここで気が付いたよ、そんなこと…。


「全然…傷つかない…。」


翼にくるりと背を向けて私は
自分の言った事に驚いていた。


何…私が何だって…?
柚花が犯人だったってこと、


全然


ショックじゃなかったって…?


───傷ついてないわけがないのに…




ひたすら現実逃避して…
道端で1人で思い返したように笑って…


明日に起こる出来事を予想なんて出来ない…。


第5章:おわり
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